子宮体癌・腹膜播種による腹水の症例における、漢方併用の経過事例

 

ご相談の病名/症状

 

60代:女性

・子宮体癌
・腹膜播種
・腹水貯留

 

これまでの経緯・症状

 

・数年前に子宮体癌と診断。
・腹膜播種が確認されて以降、腹水が溜まり始める。
・腹水による胃の圧迫感が強く、食事量が少なくなり、起き上がるのも困難に。
・病院での治療を継続しつつも、症状の改善策を求めて漢方相談。
・相談時点の主要な血液検査値。

・ALB(アルブミン):3.0(基準値やや下限)

・CRP(炎症の指標):2.5(やや高値)

以上の状態により相談に至る。

 

【その他、患者様が感じている症状】

 

・腹部膨満感とそれに伴う食欲不振
・胃の圧迫感による胸やけ、吐き気
・倦怠感や疲れやすさ
・活動量が著しく低下

 

患者様の症状に対する漢方のご提案内容

 

全身状態や腹水の量、体力の程度、栄養状態、炎症状態を総合的に評価し、主に以下の漢方ご提案。

 

ご提案内容
  • 体内の炎症を緩和する漢方
    • CRPが上昇していることから、炎症を抑えることが腹水改善の一助になると判断。
  • 栄養状態をサポートする漢方
    • アルブミン値(3.0)が低下傾向にあり、低タンパク状態が腹水の悪化要因にもなるため、身体に必要な栄養を補い、消化機能をサポートする漢方を選択。
  • 不要な水分を排出し、むくみや腹水を軽減する漢方
    • 腹膜播種により溜まった水分を排出促進することを目的とした漢方。

 

炎症を抑えると共に、栄養状態を上げ、アルブミン値を上げることで血管内の水分漏れを抑え、腹水や浮腫緩和を目指す。

 

漢方の利用後の経過と数値の推移

 

服用開始から2週間で、下記のような変化がみられた。

・尿量が増加し、お腹の張りが徐々に軽減。
・胃の圧迫感が和らいだことで食事量が増加。
・日常生活動作(特に起き上がり)がやや楽になり、軽い散歩も可能に。
・具体的な再検査データは今後の定期検査で確認予定。
・相談時(開始時)はALB 3.0、CRP 2.5。

早期に腹部症状が改善傾向にあることから、今後の採血で更にALB上昇やCRP低下などの改善が期待される。

 

漢方を始めて変化を感じられた期間

 

2週間前後で尿量が増加し、腹部膨満感の軽減や食事量の増加を実感。

 

 

担当者の解説

 

腹膜播種が進行すると、炎症や血中タンパクの低下により腹水が溜まりやすくなります。血漿中のアルブミン値が低下すると、膠質浸透圧が低下して血管外へ水分が漏れ出やすくなり、腹水やむくみを助長します。

今回の症例では、炎症緩和、栄養状態のサポート、不要な水分の排出を重視した漢方処方により、比較的早期(2週間程度)に腹部症状の軽減が得られました。胃の圧迫感が改善し、食事量や活動量が上がることで全身状態の回復が期待されます。

今後も病院治療と併行して定期的に血液検査を行いながら、漢方を継続することで腹水のコントロールやQOL向上を図っていく方針です。

 

※上記は過程を記したもので効果を表すものではありません。

 

ご相談方法(電話・メール)/土曜・祝日も対応しています。

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