
ご相談の病名/症状
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アルコール性肝炎、腹水、浮腫
これまでの経緯・症状
48歳男性。数ヶ月前から腹部の張りを自覚し、病院で「アルコール性肝炎による腹水」と診断を受けました。処方薬による治療を約1ヶ月継続されたものの、腹水や下肢の浮腫みに大きな変化が見られず、「今後の生活のためにできることを増やしたい」との思いで当薬舗にご相談いただきました。
【その他、患者様が感じている症状】
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腹部膨満感(腹水)
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両下肢のむくみ(浮腫)
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倦怠感は軽度
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食欲は比較的良好
患者様の症状に対する漢方のご提案内容
初回の血液検査では以下のような数値が確認されていました。
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ALB:2.1(低アルブミン血症)
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LDH:240
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γ-GTP:560(高値)
血清アルブミン値の低下とγ-GTPの上昇から、肝機能の低下と栄養状態の不良が示唆されました。その上で、以下のような目的で漢方を構成しました。
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肝臓の解毒・代謝機能のサポート
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肝血流の改善と浮腫みの軽減
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体内に停滞した水分の代謝促進(利水)
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栄養の吸収効率の底上げ
肝疾患の背景に「肝気鬱結」「湿熱内停」などの中医学的病理があると捉え、身体に無理のない範囲で調和を促す方針としました。
漢方の利用後の経過と数値の推移
漢方の服用から約2週間で、腹水による膨満感や足の浮腫みが徐々に軽減され、ご本人からも「見た目にも変化が出てきた」とのお声をいただきました。症状改善に伴い、気分の落ち込みも緩和され、体調管理の一環として継続服用を希望されています。
※現在も治療継続中のため、再検査の数値は未取得。今後の検査結果と経過観察を踏まえた調整を行っていく予定です。
漢方を始めて変化を感じられた期間
約2週間後
腹水による張り感や浮腫みの改善を実感され、生活の快適さが向上されたとのこと。
担当者の解説
本症例では、アルコール性肝炎による肝機能低下とそれに伴う腹水・浮腫を主訴として、漢方的アプローチを検討しました。
血清アルブミンの低下やγ-GTPの上昇は、肝臓の合成能や解毒能の低下を示しており、腹水の発生と維持に深く関与します。
中医学では、「肝鬱血瘀」「湿熱阻滞」「脾虚失運」などの病態概念に基づき、肝気の巡りを整えること・水湿の排出を助けること・栄養の取り込みを支えることを柱としました。
結果として腹水と浮腫のペースに変化が見られ、症状の軽減とともに患者様の生活の質にも好影響が現れたと考えられます。今後は肝機能のさらなる安定化と予後のサポートを目標に、段階的な調整を行ってまいります。
※上記は過程を記したもので効果を表すものではありません。


