咽頭癌から肝臓・肺転移に伴う胸水貯留の症例における、漢方併用の経過事例

 

ご相談の病名/症状

 

60代:男性

・咽頭がん(3年前発症)

・肝臓転移(咽頭がん発症から1年後に確認)

・肺転移に伴う胸水貯留、浮腫

 

これまでの経緯・症状

 

・3年前に咽頭がんを発症。1年後に肝臓へ転移が確認される。更にその後、肺転移が確認され、胸水貯留および浮腫がみられるようになる。

もともと食欲はあり、尿や便の排泄も悪くなかったが、採血のたびにアルブミン値が低下(ALB 2.9、TP 6.6)し肝機能の低下も推測できる状態。

 

【その他、患者様が感じている症状】

 

・痰が少し出る。
・呼吸が浅く、息苦しさを感じることがある。
・体がむくむ、疲れやすい。

 

患者様の症状に対する漢方のご提案内容

 

患者さまは、化学療法の副作用や低栄養の状態もあり体力が低下している。現代医学の治療と併用して、症状の緩和を図りたいとの希望あり。全身状態や腹水の量、体力の程度、栄養状態、炎症状態を総合的に評価し、主に以下の漢方ご提案。

 

ご提案内容

・排泄を促し、身体に溜まった水分や老廃物を排出する目的の漢方。
・炎症緩和と免疫力向上を主眼とした漢方。
・アルブミン値の対策として、濃縮されている栄養補助食品の併用。

 

アルブミン値を上げることで血管内の水分漏れを抑え、胸水や浮腫緩和を目指す。

 

漢方の利用後の経過と数値の推移

 

2ヶ月後:浮腫がやや緩和し、尿と便の排泄もさらに改善。これを受けて、漢方を1種類減らし2種類体制へ変更。
さらに2ヶ月後:アルブミン値が上昇し、胸水の減少と息苦しさの緩和を実感。

開始時:ALB 2.9、TP 6.6
4ヶ月後:ALB 3.9、TP 7.5

アルブミンが上昇、合わせて総蛋白も上昇する。

 

漢方を始めて変化を感じられた期間

 

・最初の2ヶ月で、まず浮腫が緩和し排泄が改善。
・漢方の処方を一部変更し、次の2ヶ月でアルブミン値が上昇、胸水が減少。
・合計4ヶ月で数値面・症状面ともに大きな改善がみられた。

 

担当者の解説

 

当初、ご本人は体力の回復を望み、抗がん剤治療を受けたいという強い希望をお持ちでした。しかし胸水貯留や浮腫により抗がん剤治療は困難な状況でした。

そこで、まずは排泄力向上を目指す漢方と免疫力強化、さらにアルブミン値をサポートする栄養補助食品を併用することで、胸水や浮腫を改善し、体力を徐々に回復させるという方針をご提案しました。

4ヶ月の服用によりアルブミン値は2.9から3.9へ上昇し、胸水が減ったことで息苦しさが緩和。結果的に抗がん剤治療を選択できる状態まで体力が回復しました。

しかしながら、抗がん剤の副作用リスクも鑑み、現状の身体的負担が軽減している状態を維持すべきか、がん治療を優先すべきかで大きく迷われている状況です。

以前は選択肢が限られていましたが、今は抗がん剤という選択が可能なまでに回復したことを大変喜ばれている反面、治療のリスクに対する不安も生じているというのが患者様の率直なお気持ちです。

 

※上記は過程を記したもので効果を表すものではありません。

 

ご相談方法(電話・メール)/土曜・祝日も対応しています。

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